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飛騨で生まれ、育まれた100年家具家具職人の技と心 ~飛騨産業~

豊かな森林で長い年月をかけて育まれてきた樹木から、飛騨高山の地で職人が丹精込めて作った家具は、長く使うほど愛着が増し、その価値は世代を超えて受け継がれていきます。使う人ひとりひとりのことを考えた、使い心地のよい木の家具が愛されている飛騨産業。優れた技術と伝統を積み重ね、2020年8月には、創業100年を迎えます。
その記念事業の第一弾として、世界的建築家である隈研吾氏とコラボレートした家具シリーズ「クマヒダ KUMAHIDA」が発表されました。そのプロジェクトの背景を紐解くとともに、ブランド力の秘密に迫ります。

「飛騨の匠」から西洋家具へ連綿と続く歴史

飛騨産業の長い歴史が始まったのは、1920年のこと。飛騨高山の町にやってきた2人の職人が西洋の曲木技術を伝え、町の有志たちが出資し合い、前身である中央木工株式会社が設立されました。
この背景には、山々の豊かなブナ原生林、古くから伝わる「飛騨の匠」の技術があります。1300年前の律令の時代から、優れた木工職人たち「飛騨の匠」は、都づくりに派遣され、その技が讃えられてきました。この伝統に、新しいことに挑戦する気概が合わさり、それまで馴染みのなかった西洋家具のメーカーが誕生したのです。
2年後には、伝統技術である漆の春慶塗(しゅんけいぬり)を施した椅子が世に送り出されました。以後、アメリカへの輸出が中心だった時代を経て、同社は高度経済成長とともに国内向けに舵を切り、日本を代表する家具メーカーとなりました。2003年からは注文を受けてから丁寧に作る完全受注生産で家具を制作しており、一つひとつ異なる天然の木材の良さを最大限に引き出すため、職人の五感をフルに活用する手仕事の工程が大切にされています。

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豊かな自然に囲まれた、飛騨産業の本社と工場。

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昭和初期のカタログから、当時の創意工夫がうかがえる。

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杉圧縮柾目材の風合いが心地よい「KISARAGI」は、グッドデザイン賞金賞を受賞。

美しい曲木のフォルムは、熟練の技術がつくり出す

木の温もりが感じられるなめらかな曲線は、曲木の技術によって実現します。まず木材に熱と蒸気を加え、型に沿って手早く曲げます。デザインによって異なる型に合わせたり、手で押し引きして整えてから乾燥させれば、木目や強度を保ったままの美しい曲線が生まれます。硬い木が理想のフォルムに曲げられていく様子は、まるで魔法のよう。
また、日本の森林面積の18%を占める杉は、やわらかすぎるため、家具には使えないというのが定説でした。しかし、飛騨産業は曲木技術をもとに、加熱しながらプレス機で圧縮する、強度と成形どちらも担保された「圧縮杉」という新しい素材を生み出し、家具の可能性を格段に広げたのです。

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飛騨産業の歴史とともにある曲木の技術。熱と水分を加えてやわらかくなった木材で思いどおりの曲線をつくり出す。削って加工することに比べると、木材の無駄も出ない。杉を圧縮して使う新技術は、環境や森林保全にも貢献。

創業100周年を迎え、ますます飛躍するHIDAブランド

創業100周年を迎えるにあたり、大きなプロジェクトが始動しました。それが建築家の隈研吾さんとのコラボ家具シリーズ「クマヒダ KUMAHIDA」。建築家の隈研吾さんが、「飛騨の匠」の最高峰の技術に惚れ込んで実現しました。
「クマヒダ KUMAHIDA」のアームチェアは、前脚からひじ、背まで、1本のリボンのようにやわらかな曲線を描いているのが特徴ですが、隈さんから届いた最初のデザイン画を見て、飛騨産業のデザインチームはデザインの変更を申し出ていたそうです。家具としての耐久性の実現が難しいことが理由でした。しかし、諦めず何度も試作と話し合いを重ね、およそ1年後、双方が納得した製品がついに完成しました。難しい課題を前にしても妥協せず、最終的に『やっぱりこれだ!』と到達できた、感動的な瞬間があったとのこと。隈さんも、その技術力に感銘を受けられたようです。

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隈研吾さんのクリエイティビティと、飛騨産業の職人たちの技術が融合して生まれた「クマヒダ KUMAHIDA」。

飛騨産業の家具作りの哲学とは、“木を愛し、使い心地のよい、人に優しい家具を作り続ける"ということ。独創的な素材と技術を追求してきたことで、評判が着実に広がり、10年ほど前からは、公共の空間作りにも参入。病院や学校のほか、幼稚園や保育園などからの依頼が相次いでいるのは、デジタルが進化している今という時代に、子どもに本物の木の温かみを伝えることを社会が強く要請しているということなのかもしれません。

木を使って丁寧に家具を作ってきた、この100年。質の高い家具は何代にもわたって愛用されており、一部破損したり塗装がはがれたりしても、熟練の職人が心を込めて修理します。創業当時に作っていた椅子を、耐久性や座り心地を進化させてリプロダクトする復刻版プロジェクトも進んでいます。
こうして、飛騨産業はこれまでの伝統と技術を大切に引き継ぎつつ、時代に合わせて進化していきます。常に最先端、それでいて人間の手でしか作りえない、最高に上質な木製家具。そんな家具を通して、これからもずっと、人の暮らしに寄り添い続けます。

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保育園や幼稚園、学校などに家具を納めることも多い。幼いうちから自然と木の家具に触れられる。

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修理の依頼は年間約4,000件。家族の思い出が染み込んだ家具が、熟練の職人の手でよみがえる。

飛騨産業公式サイト https://kitutuki.co.jp/

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