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プロに学ぶ在宅勤務環境のつくりかた | 【プロに学ぶ在宅勤務環境のつくりかた】会社員兼ミステリー作家の八木圭一さんが、多忙でも小説を書き続けられるワケ

■データは全てアップル製品で同期。無駄を省いて作業効率を最大化

宝島社の第12回「このミス」大賞を受賞した『一千兆円の身代金』でデビューし、『手がかりは一皿の中に』(集英社)シリーズなどの著書があるミステリー作家の八木圭一さん。現在はIT企業に勤めながら、執筆活動を続けている。

小説家としての仕事場は、東京都中央区の自宅マンション。ダイニングルームの一角にワークスペースを設け、土日を中心に執筆を行うという。まずは、作業環境へのこだわりについて伺った。

<八木圭一さんプロフィール>
小説家、会社員。1979年、北海道出身。横浜国立大学卒業後、雑誌編集者、コピーライターを経て、現在はIT企業で編集者をしている。2013年『一千兆円の身代金』(宝島社)で、第12回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞。近著に『手がかりは一皿の中に』(集英社)『北海道オーロラ町の事件簿 町おこし探偵の奮闘』(宝島社)がある。

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―― ご自宅の間取りと執筆環境について教えてください。

「間取りは1DKです。窓際に机を置き、デスクトップ型のiMac(21.5インチ)で原稿を書いています。ノートPCと二画面で作業することも多いですね。

それから、机の上はなるべくスッキリさせたいので、キーボードやマウスもワイヤレス。ほかに余計なものは置かないようにしていますが、低反発のアームレストだけは必須です。長い時は1日10時間以上執筆しますから、これがないと腕がもちません」(八木さん、以下同)

―― 八木さんは会社勤めもされていますが、今は新型コロナウイルスの影響で完全テレワークになっているそうですね。在宅勤務をする上で、何か不都合は生じていますか?

「会社の業務は支給されたMacBook Proで行っていますが、モニターが13インチで、細かいデータを扱う作業なんかは辛いんですよね。作業効率が落ちてストレスになるので、HDMIケーブルを買ってテレビにつなげられるようにしました。大きな画面を使いたい時は、テレビをモニター代わりにしています。また、タイピングしやすいよう角度をつけられるノートPC用の軽量スタンドはいつも持ち歩いています」

―― なるほど。他に工夫していることは?

「意識しているのは、なるべく無駄をそぎ落とし、作業効率の最大化を図ることですね。たとえば仕事道具でいえば、なるべくApple社製品で統一しています。Mac信者なのもありますが、仕事と生活を効率化するためでもあります。iPadでアイデアのメモを、Apple Watchで生活のログを同期するなどして、情報をなるべくスマートに管理したいんです」

「また、情報やデータだけでなく、近年はモノも極力減らし、スリム化に努めています。たとえば、『本』。以前は、かなり大きな本棚を持っていたんですが、引っ越しの際に処分しました。紙の本は備え付けの収納スペースなどに入る分だけ残し、電子書籍をより活用するようにしています。本だけでなく、物はなるべく減らして身軽になろうと意識していますね」

■小説家も会社員も「本業」。八木さんの忙しい1日

八木さんがここまで効率化に励むようになったのは、「兼業作家」になった6年前から。両立を叶えるには、生産性の向上が急務だったという。

―― 会社員と作家の両立は、やはり大変ですか?

「正直、ラクではないですね。僕にとっては、どちらも本業ですし、未だに一冊生み出すのに大きな苦しみを味わっていますから…。特に、最近は会社の業務が忙しく残業もかなり増えているので、作家の仕事に割ける時間が減ってなおさら大変です」

―― そんななか、本一冊を書き上げるのは並大抵ではない労力ですよね。ちなみに、いつ書いているのでしょうか?

「正社員として平日5日、フルタイムで働いているため、執筆にかけられる時間は限られています。本当は早起きして朝の時間を執筆に充てられたらいいんでしょうけど……僕は完全に夜型なので、原稿を書くのは会社が終わってからですね。

平日は10時から15時までが会社のコアタイム。今はテレワークですが、基本はオフィスに出社して仕事をします。18時くらいに切り上げて社食でご飯を食べたら、自宅やカフェで3時間くらい執筆をする。まあ、これはあくまで理想で、なかなか毎日は書けません。ですから、会社がない土日で、いかに集中して書き進められるかが勝負です」

―― 八木さんは長く集中力を持続できるタイプですか?

「それが、そうでもないんです。デビュー作こそ、集中して一気に書き上げられたんですが、やはり会社の業務量が増えてくると執筆ペースも集中力も乱れますね……。でも、だからこそ、少しでも生産性を高めようといろんなことを試しています。効率化もそうですが、集中するための工夫や環境づくり、そして体調管理には特に気を配るようになりました」

▲デビュー作『一千兆円の身代金』。第12回「このミステリーがすごい!大賞」大賞受賞作で、テレビドラマにもなった

―― では、生産性アップや健康管理のために実践していることを教えてください。

「まず、朝はエスプレッソマシンで濃いコーヒーを入れて、スイッチをオンにするところからスタートします。昼食のあとも豆乳をたっぷり入れたコーヒーを飲みますね。コーヒーはリラックスというより、執筆モードへ切り替えるために飲んでいます」

「また、気分が乗らない時はクラブミュージックを聴いてテンションを上げることも。クラブ、全く行かないんですけどね(笑)。以前に通っていたジムでよく流れていたEDMが気に入ってしまったんです。スピーカーはGENEVAというオーディオメーカーのもの。音質がよく、ポータブルなのにバッテリーも長持ちするので重宝しています」

「それから体調管理ですが、これは何といっても食ですよね。特に気を付けているのが、野菜の摂り方。野菜ソムリエの資格も一応持っているので、栄養素を重視しながら摂取しています。ビタミンなどが豊富なブロッコリーやキャベツ、レタスなどを多めに食べる、ビタミンCを破壊する酵素を持つ生のキュウリなどは一緒に食べないようにする、とかですね。

最近、野菜や果物の栄養を効率的に摂るためミキサーも買いました。今は安価でも、性能のいいミキサーがあるんですよね」

■テーマ選びも効率性を重視。6年間で確立したエコシステム

こうしたこだわりは全て、好きな仕事を無理のない形で少しでも長く続けるためのもの。八木さんはそれを、「エコシステム」と表現する。

「兼業作家になってからはずっと、エコシステムみたいなものを作って、無理なく生産性を高めていきたいと考えてきました。それは仕事の環境だけでなく、小説のテーマ選びなどにも当てはまります。たとえば、今注力しているテーマは『食』。一昨年、集英社から出したグルメミステリーはシリーズ化し、今年3作目の刊行を目指しています。シリーズ化すると骨子やキャラクターをそのまま使えて、効率が上がりますからね。

それに、ごはんは毎日必ず食べますし、会食や飲み会と取材を兼ねることができて一石二鳥にも三鳥にもなります。最近は食のエッセイなどの執筆依頼も増えてきて、ますます生活と仕事の相関性が高まりました」

▲『手がかりは一皿の中に』。グルメライターの北大路亀助が、難事件を解決するため、全国の美食を食べまくる

―― 確かに、自分のライフスタイルとうまく連携できるテーマを選び、システム化すれば次々と作品を生み出せそうですね。

「そうですね。僕自身、食べることが大好きなので、ネタには困りませんよ。このところ外食がしづらい状況ですが、以前はよく築地の場外市場まで散歩がてらランチに行っていました。今は休業要請による営業時間短縮を受けて、お弁当や総菜の販売を始めるお店も増えていますよね。最近は築地のお寿司屋や、近所にあるリッチバーガーのお店で、よくテイクアウトを利用しています。あとは、地元北海道十勝産のふるさと納税の返礼品食材を使ったりして自炊もしますよ」

―― 本当に食を満喫していますね。趣味や仕事であるだけでなく、リフレッシュの手段にもなっている。

「そう思います。在宅勤務では、上手に気分転換してストレスを減らすことも重要なポイントだと感じますから。僕の場合は、完全に食べることがストレス対策ですね。食べすぎてばかりでちょっとまずいので、人のいない夜に走ったりもします」

■窮地でこそメリットを感じるダブルワーク

4月7日、7都府県を対象に発令された緊急事態宣言(その後、全国に拡大)を受けて、多くの人の働き方が変わった。急遽テレワークを導入した企業もあれば、職場が休業要請の対象になり、今後の仕事に不安を抱える人もいる。先行き不安な状況が続くなか、今できることは何なのか。最後に、八木さんにアドバイスを仰いだ。

―― 会社員と作家を両立するために「働き方の最適解」を求めてきた八木さんだからこそ、語れることもあると思います。不安を抱えている人に、メッセージをいただけますか?

「大変過酷な危機に直面している人もいるでしょうし、人によって状況が違うので、軽々しくアドバイスはできません。なので、僕自身がこの状況になって実感していることをお話しますね。もともと出版業界はネットへの適応が遅れていたので、この先どうなるのかと、僕にも不安はありますが、それでも業種が異なる本業が複数あることで精神的にかなり救われています。片方の仕事にリスクを感じても、エンジンが2つあるという状況は、心の安定につながりますよ。

これから、必然的に産業構造の変化や働き方改革は進み、社会のアップデートは進んでいくでしょう。ですから、今もし時間に余裕があるのなら、余った時間で先を見据えていろんなことに手を出して、“副業の種”を蒔いてみてもいいのかなと思います。あらためて、多くの人がどこにいてもスマホからアクセスできるインターネットは個人のスキルやアイデアをエンパワーメントする可能性を秘めていると実感します。本業に復帰した時に両立できる何かを探す機会として、この期間をフル活用してみるのはいかがでしょうか」

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