Relife mode

旅する人に聞いてみた | 「死ぬまでに行きたい! 世界の絶景」プロデューサー・詩歩さんの“住まいへの価値観”

「きっかけは新卒での研修」“絶景”を仕事にするようになったワケ

Chapter.01

––普段はどれくらいの頻度で現地に行かれているのでしょうか。

だいたい1カ月間のうち、1週間は海外へ行き、2週間ぐらいは国内、そして残りの1週間は家で過ごすことが最近では多いかもしれません。仕事上、どうしても家で過ごす時間は少なくなってしまいますね。

––国内外問わず旅に出ていることがほとんどなのですね。現在の仕事を始めるようになった経緯を教えてください。

大学を卒業して新卒で入社したインターネット広告会社での研修がきっかけでした。Facebookページを立ち上げて、「いいね!」の数を競うという課題が出たんです。私はコンテンツを趣味の「旅行」にしようと思い、パッと見て目を引くような絶景写真を紹介することにしました。そこで、いろいろな方に「いいね!」をもらえたことが嬉しくて、現在の「死ぬまでに行きたい! 世界の絶景」を主軸とした仕事をするようになりました。

––これまで行かれた中で、一番印象的だったスポットはどこでしょうか。

なかなか一番は決められないのですが、ある意味印象深かったのはエチオピアにあるダナキル砂漠でしょうか。海抜マイナス100m以上という、海面よりも低いところにある世界一過酷な場所のひとつなんです。真夏には気温が50度を超え、「人類が住める最も暑い場所」としてギネス記録に登録されているほど。私は5月に行ったのですが、そこまで酷暑にならなかったのが救いでしたね。

story_img1ダナキル砂漠。塩分や硫黄、カリウムなどを含む温泉が地表に噴出し、黄色や緑など鮮やかな色の結晶となってできている

過酷だといわれているのは気温だけではなく、いくつもの理由があります。まず、ここは3日間野宿しないとたどり着けない場所です。トイレやシャワーはもちろんないですし、移動中は簡易ベッドを外に敷いて寝袋で寝ていました。外で寝たのは初めての体験でしたね。おまけに、ダナキル砂漠はプロの武装強盗が出没する恐れがある危険地帯です。万が一に備えて、銃を所持した兵士と共に行動しなければいけないエリアもあります。そのため、ツアー単位でないと個人では行くことができません。とはいえ、ツアーの指示に従って決まりさえ守っていれば、とくに危険な思いをすることはありませんでした。

story_img2

やっとの思いで到着した先に待っている極彩色は、人工では作り出せない自然ならではの美しい景色でしたね。この物質は触ってはいけない危険物質でもあるのですが……。とにかく全てが過酷で危険もあるのですが、他では見られない絶景は見ごたえがありました。

story_img3ダナキル砂漠にある火山の噴火口からはマグマを見ることもできる

「初めてのひとり旅では毎日帰りたかった」 それでも感じた“現地に足を運ぶ価値”

Chapter.02

––もともと小さいころから旅行が好きだったのでしょうか

そもそも旅行にあまり行ったことがなく、初めて海外に行ったのも大学生のときでした。国際ボランティアのプログラムに参加するために、1カ月間イタリアにひとりで行きました。当時は何も知らなさすぎて、ひとりで海外に行くことに対して怖いという認識すらなかったんです。イタリア人がイタリア語を話すことすら知らなかったので、今思えば当時の自分が恐ろしいなと思います(笑)。ボランティアのプログラム期間前後でひとり旅をして、ローマやフィレンツェ、ヴェネツィア……とさまざまな場所を巡りました。

story_img4ジョットの鐘楼から見渡せるフィレンツェ市街地の景色
story_img5ミラノ・ドゥオーモ前の広場

しかし、言葉も通じないし、スリなどの治安も心配。滞在中は毎日のように帰りたいと思っていました。ただ、その中で、歴史的な遺跡や建造物に触れられたことが自分の心に強く残ったんですよね。歴史が好きだったので、時を越えて世界的な遺産に触れられる感動がありました。海外に長く滞在するのはなかなか大変ですが、実際に現地に行ってみるのはいいものだと思いました。

当時は絶景に対してはさほど興味がなかったのですが、歴史が好きだったのでもっと古代の文化や遺跡に触れてみたくなりました。そこで、2カ国目はエジプトに行きました。

「自分の家は出発点であり、ゴール地点」日本を拠点に旅するワケ

Chapter.03

story_img6

––詩歩さんから見て、“旅の魅力”とはどのようなところでしょうか。

行けば行くほど新しい世界が広がることでしょうか。ネットや書籍などでさまざまな場所を紹介していますが、やはり行ってみないとわからないことってすごく多いと思います。正直なところ、旅に出ると日本に帰りたいなといつも思いますし、空港に行くことさえも面倒だと感じてしまうんです(笑)。それでも、やっぱり足を運ぶ価値があるんですよね。
遠い国の災害や情勢に対して、自分ごととして考えられるようになるのも旅の良さです。

story_img7緑のアーチに覆われた通称「恋のトンネル」。ウクライナにあるクレヴァニに位置し、カップルで訪れると恋が叶うと言われている恋愛の名所

今年、ウクライナにある「恋のトンネル」と呼ばれるスポットに行ったのですが、できることならずっとここでボーッとしていたいと思うくらいとても幻想的で美しい景色でした。だからこそ、内戦状態にあるウクライナの状況がとても気がかりです。現地に行くことで、身近な場所として考えられるようになります。そういう意味でも、旅は自分の世界が広がりますよね。

––反対に、ひとつの場所に「住む」ということについてはいかがでしょうか。

うーん……私は旅先からまた別の場所へそのまま行くことがなくて、必ず家に帰ってきて、パッキングし直してから出かけます。いわゆる旅人のような暮らし方とはまた違って、どこに行っても必ず日本の家に帰ってきたいと思うんです。住まいをもつというのは、自分の行動の拠点のような感じですかね。自分の家は出発点であり、ゴール地点でもあるような場所だと思います。

––あくまでも、詩歩さんは日本の住まいがベースになっているということですね。

そうですね。日本でも、もし東京以外の場所に住むとしたら長野でしょうか。自然と住民がうまく共存しているエリアが好きなんです。長野は自然豊かで絶景が見られるポイントがたくさんあっていいですよね。

story_img8長野の雲海テラス「SORA Terrace」から見た風景。東京から日帰りで行ける距離で、最高の雲海が見れたという

また、都心部からのアクセスがいいのも魅力的です。どこへ行っても必ず家に戻ってきたいことを考えると、行って帰ってきやすい場所というのも自分にとって大切な条件ですね。

––行き来がしやすいというのもポイントになっているのですね。

行動の拠点となっているからこそ、利便性は重要視していますね。そもそも、「死ぬまでに行きたい! 世界の絶景」は、“行ったことはないけど行ってみたい場所を紹介する”というコンセプトでした。普通だったら、行ったことのある場所を紹介するので、多分それがすごく変なのだと思います。ただ、同じように行ってみたいと思っていても、行けてない人ってたくさんいるはずです。だからこそ、行きたい場所に対して共感を呼んだのがひとつの強みになりました。私も日本に拠点を置いていることで同じ目線で見ることができるのだと思います。見る人の心だけでなく体を動かせるような情報を発信し続けていきたいですね。

月2回配信! 会員限定 最新記事、人気記事、おすすめ記事が満載のメールマガジンを配信中! ご登録はこちら月2回配信! 会員限定 最新記事、人気記事、おすすめ記事が満載のメールマガジンを配信中! ご登録はこちら

読んでおきたい
すまいのストーリー

知っておきたい
すまい選びのヒント