Relife mode

私の日本家屋 | 高知県嶺北地方に建つ、築100年の古民家の暮らし(前編)

「四国のおへそ」で始めた築100年の古民家の暮らし

Chapter.01

story_illust 高知空港から60分ほど車を走らせると、四方を山に囲まれた高知県嶺北(れいほく)地方に辿り着く。嶺北地方とは土佐町、本山町、大豊町、大川村の4町村から構成される地域のことで、地図で見るとちょうど四国の真ん中に位置することから「四国のおへそ」と呼ばれている地域だ。 四国三郎の異名を持つ吉野川が流れ、激流ポイントを利用したラフティングやカヌーなどのレジャーが人気を呼ぶほか、牧歌的な山村の景色を映し出す棚田群、梶ヶ森の幻想的な雲海など見どころも多い。また、標高200~1800m、地域の約90%を森林が占める山間エリアでありながら、学校や病院、銀行、スーパー、飲食店といった生活に便利な施設が揃い、田舎暮らしを志す移住者が年々増加傾向にある地域としても知られる。 そんな嶺北地方のひとつである土佐町に、紅葉で色づく山村の景色に溶け込むように一軒の日本家屋が佇んでいる。4コマ漫画エッセイストなど多方面で活躍中のヒビノケイコさんが、「NPO法人れいほく田舎暮らしネットワーク」を運営する夫の川村幸司さん、長男の草生太(そうた)くんと暮らす築100年の古民家だ。実は嶺北地方は、夫・幸司さんの生まれ故郷で、この古民家は生家だという。古い日本家屋で暮らし始めて11年、その悲喜こもごもを伺った。
yt_img1
story_img1紅葉に染まる嶺北地方の美しい自然の景色
story_img2ヒビノさんが暮らす古民家。日本瓦と焼杉壁の外観が印象的

新しい家族の誕生をきっかけに、大好きだった夫の生家へ

Chapter.02

ヒビノさんが夫・幸司さんと高知県嶺北地方で暮らし始めたのは2006年。それまでは京都郊外にある古寺を借りて自給自足的な暮らしをしていたという。「京都では芸術系の大学で陶芸の勉強をしていましたが、素材である土を取り寄せて作品を制作することに違和感を感じて……。自分で土作りから行いたいと思ったのをきっかけに、当時付き合っていた夫と土に近い暮らしを志すようになりました。お寺では自分たちで居住空間を修繕しながら薪割りをしたり、薪ストーブで料理の煮炊きをしたり、畑を耕したり、そんな自然に近い暮らしをしていましたね」とヒビノさん。
story_img12ヒビノさんが大学時代に住んでいたお寺の一室
その後、結婚して子どもを授かったのを機に、さらに田舎へ移り住んで腰を据えた暮らしをスタートさせたい想いが生まれた。そして、日本全国を対象に場所探しを始めた。もちろん、希望する家は日本家屋。昔から陶芸や茶道など和のものに触れる機会が多く、また、新しいものよりも古いものに心惹かれて骨董品をコツコツと集めていたヒビノさんにとって、築年数を重ねた日本家屋に暮らすことは憧れだったという。「実際に信州や九州まで足を運んで下見もしました。ですが、私たちが悩んだ末に出した結論は“やっぱり、あそこしかない”でした」と振り返る。「あそこ」とは、夫・幸司さんの生家。ヒビノさんにとっても一番大好きな場所だった。
story_img3縁側のサッシは近所の解体した家から譲り受けた歪みガラスの戸に取り替えた
story_img4好きな小物を飾り、客人を迎えるヒビノ家の玄関

“心地よい”暮らしを求め、約20年空き家だった日本家屋をリフォーム

Chapter.03

今ヒビノさんが家族と暮らす古民家は、大学時代から夏休みにたびたび訪れ、幸司さんの祖父母と過ごした思い出の詰まった場所。「おじいちゃん、おばあちゃんと農作業をした後、この家の茶の間で甲子園を観るのが恒例でした。初めて来た時から、落ち着くな、いいなと、ここで過ごす時間が好きでした」と懐かしそうに振り返る。 だが、その頃すでに幸司さんの家族は別宅を新築し、この日本家屋は農作業の休憩時に使うくらいで、20年ほど空き家になっていた。普通に暮らすことは出来ても、“心地よさ”を求めて暮らすためには、それなりのお金をかけて修繕と改築を行う必要があった。 「長い期間、空き家になっていたので、基礎部分は地元の大工さんに見てもらって必要な箇所を修繕してもらいました。屋根瓦も日本瓦のゆがみやずれを正すために杉皮をいったん取って、防水シートを敷き、もう一度日本瓦を戻すなど、けっこう大幅に手を加えましたね」
story_img5もともとの建具を生かしながら、生活がしやすいように改修を進めた
story_img6屋根も味わいを残しながら日本瓦に新しく葺き変えて生まれ変わった
月2回配信! 会員限定 最新記事、人気記事、おすすめ記事が満載のメールマガジンを配信中! ご登録はこちら月2回配信! 会員限定 最新記事、人気記事、おすすめ記事が満載のメールマガジンを配信中! ご登録はこちら

読んでおきたい
すまいのストーリー

知っておきたい
すまい選びのヒント