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ルーベンス、多才な巨匠の家族愛の物語〈後編〉

東京上野の西洋美術館にて、国内史上最大級の規模で開催されている「ルーベンス展」。バロック絵画の巨匠であり「王の画家にして、画家の王」とも称されたルーベンスは、日本では『フランダースの犬』の主人公ネロが憧れた画家として広く知られています。前編では妻や子供たちに惜しみない愛情を注いだ彼の姿をその作品に追いました。後編では、偉大な芸術家にして政治家や実業家の側面も持ち合わせた、彼の驚くべき多才さにフォーカスします。

「王の画家にして、画家の王」。その華麗なる交友関係。

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【出品作品】ペーテル・パウル・ルーベンス《マルスとレア・シルウィア》1616-17年ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション

輝かしい宮廷画家として活躍していたルーベンスは、同時に「5ヵ国語を操るコスモポリタン」「平和のために奔走した外交官」「確かな審美眼の美術コレクター」「大規模工房の敏腕経営者」としても名を馳せました。10歳の時に父を亡くした彼は、13歳で伯爵家の小姓となり貴族的な教養を身につけ、絵画の才能も開花させます。22歳で憧れのイタリアに赴いてマントヴァ公の宮廷画家となり、32歳の時にはネーデルランド総督のアルブレヒト大公の宮廷画家に。大公の死後は大公妃の信頼を得て、外交使節の活動も開始します。ルーベンスは優れた画才に加え、王侯貴族や知識人と対等に会話できる古典的教養とエレガントで規範的な性格で人々を魅了したようです。さらに彼は多国語をマスターし、戦火くすぶる欧州を平和のために奔走しつつ、各国の王族から制作も受注するマルチぶりを発揮。「愛の元に平和は保たれる」ことを寓意的に描いた《ヴィーナス、マルスとキューピッド》にも和平交渉の性格があったのかもしれません。まさに「王の画家にして、画家の王」と言わしめた彼の並々ならぬ自信を象徴した一言です。

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【出品作品】ペーテル・パウル・ルーベンス《ヴィーナス、マルスとキューピッド》1630年代初めから半ばロンドン、ダリッチ絵画館

自ら設計して邸宅を改築!彼の愛が詰まった「ルーベンスの家」。

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アントワープ、ルーベンスの家

さらに驚くべきは、アントウェルペン(アントワープ)に購入した邸宅を改築するのに、なんと自ら設計図を引いたのだとか。敷地内にはアトリエ、邸宅、庭園、ドーム型ギャラリーなどが築かれ、家族と豊かな暮らしを送りながら、優秀な弟子たちと数多の作品を精力的に制作。彼を慕う顧客やコレクションに魅せられた知識人も集まり、華々しく暮らしたといわれます。ここで彼は画家との共作や弟子との分業に取り組み、工房経営者としても大成功します。《ヘスペリデスの園で龍と闘うヘラクレス》のヘラクレスは彼が、龍は動物画を得意としたスネイデルスが担当。ブリューゲルと共作した作品も残っています。ルーベンスが設計に携わった「ルーベンスの家」は、彼自身と家族、さらには弟子や友人の人生までも豊かに充実させたのでしょう。仕事にも家族にも愛情を注いだルーベンスの人となりが色濃く現れた邸宅。現在は美術館として公開されています。ベルギーに旅した際はぜひ立ち寄ってみてください。
ここでご紹介した作品は、開催中の「ルーベンス展」にて実際にご覧いただけます。女優の長澤まさみさんがナビゲートする音声ガイドと一緒にお楽しみください。

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【出品作品】ペーテル・パウル・ルーベンスとフランス・スネイデルス《ヘスペリデスの園で龍と闘うヘラクレス》1635-1640年マドリード、プラド美術館

「ルーベンス展―バロックの誕生」
2018.10.16(火)〜2019.1.20(日)
国立西洋美術館(東京都台東区上野公園7の7)
・開館時間:9:30〜17:30(金曜・土曜は20:00まで。ただし11/17は17:30まで)
※入館は閉館の30分前まで
・休館日:月曜日、12/28〜1/1、1/15(ただし12/24、1/4は開館)
〔展覧会公式ウェブサイト〕http://www.tbs.co.jp/rubens2018/

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